いとへん展準備終わり記念に、五十嵐大介の漫画「海獣の子供」4巻(小学館 IKKI COMIX)を買う。
「海獣の子供」は、人間の姿をしながらどこか違う「海から来た子供」を中心とした物語だ。普段我々がいる「地上」とその人間が決して生きられない「海」との関係と、生命の誕生と死の関係をテーマに描いている。
少しネタバレになるかもしれないが、印象に残ったのは主人公の琉花が夢の中で波打ち際を歩むシーン。
「波打ち際は生と死を分つ際だ。死者と生者が入れ代わる境界なんだ。(中略) 海に棲むものにとっての死は、君たちにとっての生。君たちにとっての死は、海に棲むものにとっての生」
そう「海に棲む者」が言う。海の向こうのことを我々は何も知らない。宇宙を知らないように。
このような生死や生命に対する解釈が五十嵐氏の特徴であり、自分が影響を受けたり共感したりする部分である。
そして最近よく考えるのだが、そういうことって実は「当たり前」のことなのだ。当たり前が故に気付かない、それも本来種としての人間は知っているのに個としての人間は気付こうとしないということが多いのではないか、と思う。
それを五十嵐氏の漫画は気付かせてくれる。特に4巻になってから俄然そういうテーマが濃く現れてきた。次巻で完結とのことだが、どのような結末が見られるのか非常に楽しみである。
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