会期が迫っていたので、急いで京都国立近代美術館で行われている「生活と美術-アーツ&クラフツ展」に行ってきた。
近代の大量生産型工業の発達を背景にウィリアム-モリスを中心に興った「アーツ&クラフツ運動」。手工業を見つめ直しながらも、質の高い家具、テキスタイル、道具を作るという「デザイン」の概念の先駆けとなった「モノ」を展示している展覧会だ。
実際に当時の製品を見て感じたのは、モリス達の「良いもの」への気持ちだ。
急速な工業化による粗製濫造、それに淘汰される手工業の間から、新たな道を模索しているのがよくわかった。「アーツ&クラフツ運動」は手工業的なクラフトを見直そうという運動だが、そこに見たのはそれまでのアノニマスによる美しさではなく、最初から「良いもの」を生み出そうとするまさにデザインそのものである。
しかし、そこから生み出されたものは決して現代の「デザインされたもの」のような画一的なものではなく、あくまでも温かい。
現代では、得てして「デザイン(されたもの)」と「(手による)工芸品」が何か相反する位置にあるもののように語られがちに思う。手びねりの湯のみは田舎臭い、キレイに成形された○○良品の湯のみはデザインされててカッコいい…最近の日本の「デザインブーム」においてはそう思われているような気がする。
だが、100年前に興った運動は、このことの誤りに気付かさせてくれる。普段「デザインすること」にうんうん唸っている自分は、そのことにすごくハッとした。
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