大阪、サントリーミュージアムで行われている「純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代」の特別ワークショップとして日曜日、ラムス氏と対話をする機会を得た。
自分の通う大学の他、数校のデザインを学ぶ生徒が集まって「形象(かたち)に至るプロセス」についてラムス氏と対話する、というものだ。
会いたくてもなかなか会える人物ではない。本当に貴重な機会だ。
実際にお会いしたラムス氏は、柔和な物腰ながら、口調からは(もちろんドイツ語だが)強い意志を感じる方だった。
学生の質問にも、非常に丁寧に、そして熱くお答えくださった。
自分はデザイナー、デザイナーの作る「モノ」、そしてそれを使うユーザー(ラムス氏が「消費者」ではなく「ユーザー」だ、とおっしゃったのが印象的だった)の間の意識や要望の差について質問したのだが、それに対するラムス氏の答えは明快だった。
要すれば「デザイナーは強くあれ」ということだ。単にデザイン活動だけでなく、それに関わる内側としての会社、外側としての社会に対してメッセージの発信力を高めていくこと。
「良いデザイン(正しいデザイン)」を作るだけではなく、伝えること。
ラムス氏も深澤直人氏もおっしゃっていたが、デザインという分野が成熟している今、デザイナーの役割はより複雑に、より責任の重いものになっていると思う。
深澤氏にも、「これからのデザイナーを目指す方は非常に大変だと思いますが…」と言われてしまったが(笑)、なんかめちゃくちゃに「デザインされたモノ」の氾濫している今こそ、メッセージを発信するチャンスになりうる。そう思いたいし、実際誰が見ても「正しくないデザイン」、の多さにはウンザリする。今だからこそ。…うあー。
今回の経験、無駄にするもんか。
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