最近の世相を表すキーワードとして「エコ」がある。
CO2削減、バイオ燃料、森林伐採問題…。現実に気象異常が多く発生するようになって、ようやくと言うべきか皆が焦るようにエコ、エコと声高に叫ぶようになった。
そんな中で,デザイナーもエコの推進役として大きな役割を担っていると思う。
大きな例としては「エコバック」が挙げられるだろう。最近では著名デザイナーが作ったエコバックが大人気になったりもしている。
デザイナーとして生きていきたい身としては「エコ」は決して無視できないものになっていると思う。
そんな自分だが,とても印象に残っている言葉がある。
「エコエコ言うけどな、エコデザインなんて、絶対にありえない!くだらん!」
これは、自分が受験生の時に通っていた画塾の先生の言葉である。偶々だが、先生も芸大でプロダクトデザインを専攻しておられた。その先生からこんな言葉が飛び出したのである。
その理由。現在のデザイナーの行う「デザイン」とは結局「商品」のことである。つまり、絶対に消費の上に成り立つものでしかない「デザイン」は、真の意味での「エコロジー」を具現化する道具にはなり得ない、ということである。
つまり、エコバッグ、とは言いながらそのエコバッグ自体も資源を消費して作られるものである。リサイクルと言いながら結局商品を作り出すには何かを消費しなければならない。その行為に加担するデザイナーは、「エコロジー活動をしている」とは言えない、という訳である。
その先生は、現在の消費社会の中でプロダクトをデザインすることは限界があると感じて結局、画塾の先生になられた。
受験生の身としては、何とも肩すかしを喰らうような話である。じゃあ、自分がやりたいことって、世界を壊す一端を担っているの?意味が無いのか!? 等とショックと憤りも感じたが、同時になるほど!と納得する面もあった。
確かに、現在のプロダクトデザインとは資本主義、消費社会の上で成り立っているのは事実である。誰も買ってくれないんじゃ商売上がったり、何かモノを消費させようと思ってデザインの勉強をしているのは確かなのだ。
当たり前とも言えるこの事実を、受験生のうちにはっきりと確認できたのはとてもよかったと思っている。じゃあデザインに出来ることってないの?と考えるきっかけになったからである。
もちろんまだまだ勉強中の身であって、答えはすぐに出るような簡単な問題ではないと思う。社会が変わらなきゃどうしようもない面もあるだろう。
それでも、デザインに絶望はしたくない。人間が生活するのに絶対に必要なものだと思っている。
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