先週末、梅田駅まで帰ってきて思わず吹いた広告があった。それが写真の広告。思わず駅でニヤニヤしてしまった。恥ずかしい…。
JTのコーヒー飲料「Roots」の宣伝のシリーズである。今までも俳優の坂口憲二が「あるある」のシュールな一言を展開するというパターンだったが今回は週刊少年ジャンプとのコラポレーションをしているようだ。坂口憲二という生身の人間が言うよりもキャラクターがかっちり出来上がっているのが漫画のキャラなので、余計に笑えてしまう。
こんなんやってんのか!という訳で公式サイトを見てみるとなんと、種類が半端ではなく(303パターン!しかも以前の1、2弾も同じぐらいある)しかも地域ごとの「ご当地台詞」まであるとのこと。コピーライターさんお疲れさまです。
にしても、最近CMや広告を見ていて思うのはコラボレーションという名のパロディデザインが多くなっているなぁということである。
このRootsの広告もそうだが、電車内ではビールの広告にこの度社長になった嶋耕作が出ていたり、この間佐藤可士和氏が手がけたものではユニクロの東京にある店舗もマガジン、サンデーとコラボしている。ユニクロのTシャツもジャパニーズカルチャーとしての漫画・アニメをフューチャーしているし。
今までだって、漫画のキャラクターが広告に出ていることはあったと思う。しかし最近はその「起用法」が変化してきたと思うのだ。このRootsの広告もそうだが、「漫画内のキャラクター」としてのキャラクターというよりも誰が見てもわかる(つまりギャップが楽しめる)「アイコン」としての使われ方としていると感じる。もとの漫画内でどんなキャラクターだったかはある意味関係ない(もちろんギャップを感じるためには必要だが)。ドラゴンボールの孫悟空が「オラ,このRootsってコーヒー好きだぞ!」と言うのではなく「握手したあとこっそり手を拭かれた!」と言っている訳である。
これって漫画であるとか、その他のメディアも同じだと思うがすごくその分野が成熟してきて、「誰でも知ってる」の域に達しているのを感じさせるとともに、その分野を形骸化させる危険性があるんじゃないかなぁ。一度ギャップで笑いを取ってしまうとそれ以降本業(?)のほうをみてもパロディされたものを思い出してしまい、決して元からあるキャラクターの印象には戻せないからだ。
はじめにすごく似ているモノマネでウケてしまった芸人が素の格好に戻ったらまったくウケなくなってしまうみたいな感じで。織田裕二の人みたいに。
こういう広告は面白いし、文化的に余裕ある証拠かなとも思うけれど、その分気をつけないと自分で袋小路に陥ってしまいそうである。
JT「Roots」公式サイト→こちら
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